「わたしの可愛い人――シェリ」(2009)を単館ロードショーの最終日に見て 山田宏一(映画評論家)さん

「わたしの可愛い人――シェリ(2009)を単館ロードショーの最終日に見て 
山田宏一(映画評論家)さん

公開劇場はこちら http://www.cetera.co.jp/cheri/


すばらしかった。「危険な関係」(1988)以来のスティーヴン・フリアーズ監督、ミシェル・ファイファー主演のフランス文芸もの――女流作家コレットの文名を高からしめた小説「シェリ」の映画化です。フランス映画ではなく、全篇が英語のせりふとナレーションによる作品なのに、不思議にフランス的な、そして文学的な香りのある、佐々木涼子氏のコレット評(「集英社 世界文学大事典」)の表現そのままに「豊かな官能と繊細な抒情性」にあふれた、見ごたえのある傑作になったと思います。シェリの役をもし20歳のジャン=クロード・ブリアリが演じていたら、どんなに素敵だったろう、などという無い物ねだりの夢想、妄言はさておき、年上のココット(高級娼婦)を演じるミシェル・ファイファーの恋やつれならぬ恋づかれした肉体のエロチシズムには圧倒されました。